住宅ローンの連帯保証人に奥様がなっておられる場合がよく有ります。よく相談される保証人のことについて少しお答えします。民法446条1項に「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないとき、その履行をする責任を負う。」とあります。つまり「保証人」になった場合、債務者(借金をした人)が返済できない場合、「保証人」になった人が代わりに返済をする義務を負うことです。つまり、保証人とは、融資を受けた債務者(借金をした人)が借入金を返済することができない状態に陥った時に、代わって返済を行う人のことです。また、保証人には通常の保証人と「連帯保証人」という種類の保証人が存在します。どちらも債務者の肩代わりをする可能性があるという点は同じですがいくつかの違いがあります。その違う大きな点3つあります、それは以下の通りです。
債務者(借金をした人)本人が返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負うという点では同じですが、違う点は債権者(お金を貸した人)が返済できなかった場合に直接保証人に対して返済請求をしてきた場合には、保証人であれば「まずは主債務者に請求して下さい」と主張することができます。対して連帯保証人はそのような主張をすることができません。
主債務者が返済できる資力があるにもかかわらず返済を拒否した場合、保証人であれば主債務者に資力があることを理由に、債権者に対して主債務者の財産に強制執行するように主張することができます。連帯保証人はこのような主張をすることができず、主債務者に資力があっても貸金業者に対して返済しなければなりません。
(連帯)保証人が複数いる場合、保証人はその頭数で割った金額のみを返済すればよいのです。対して連帯保証人はすべての人が全額を返済しなければなりません(もちろん、本来返済すべき額を超えて返済する必要はありません。)
「保証人」にはこの3つが認められています。一方「連帯保証人」にはこの3つのいずれも認められていません。つまり、「連帯保証人」は、債権者(お金を貸した人)から借金の請求があれば「保証人」のように債権者に対し、「先に債務者(借金をした人)に請求をするように求める」ことなどができないまま、債務者の代わりに借金の返済をする義務があるのです。保証人に比べて、連帯保証人には重い責任が課されています。例えば、主債務者(借金をした人)が任意整理や個人民事再生、破産・免責手続きなどをとった場合でも、その責任はついてまわります。もし、主債務者が破産・免責手続きをとり、実際に借金の返済義務を免れることができたとしても、連帯保証人の返済義務まで無くなるわけではなく、主債務者が払わず残ってしまった借金全額を連帯保証人が返済しなければなりません。連帯保証人は非常に厳しいものです。「絶対に大丈夫」ということは世の中にありません。他人の保証人になったせいで、自分が築いた幸せな家庭や人生が台無しになったという人も多数います。連帯保証人になるということは、「自分が借金をすること」と同じだと思ってハンコをつく必要があります。